企業を経営していくなかで、必ず目にすることになるのが、「損益計算書(P/L)」と「貸借対照表(B/S)」です。「キャッシュフロー計算書(CF)」とともに財務三表として、企業の財務状況を総合的に理解するための重要な書類であり、企業の効率性や収益性を評価するための指標を導く手がかりともなります。
P/LとB/Sは自社の経営状況を理解するためにも必要になりますが、そこから導き出される指標に「総資産利益率(ROA)」という数値があります。ROAが高いという事は資産を有効に活用しているという事であり、経営効率が良いという事になります。そして、ROAは株主や金融機関、取引先などのステークホルダーが自社を評価するためにも使われます。
企業経営ではROAの数値を高めることもひとつの目標となってきます。そのために様々な方法が考えられますが、より効率的で効果的な方法のひとつとして挙げられるのが「太陽光発電のPPAモデル」です。財務体質を改善して経営効率を高めるために「太陽光発電PPA」がどのように役立つか見ていきたいと思います。
「P/L」「B/S」ってなに?
あらためて「損益計算書(P/L)」と「貸借対照表(B/S)」について確認しておきたいと思います。少し乱暴かもしれませんが、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのようなRPGゲームに例えてみました。
損益計算書(Profit and Loss Statement、P/L)
損益計算書(P/L)は、企業が一定期間内(例えば1年間)にどれだけ収益を得て、費用を使い、最終的にどれだけ利益が残ったかを示します。一定期間の収入と支出を記録するものとイメージするとわかりやすいかもしれません。

- 収益:商品やサービスを販売して得た収入。
- 費用:収益を得るためにかかったコスト。
- 利益:収益から費用を差し引いた最終的な成果。
RPGゲームで例えるなら、100回宿屋に泊まる間にモンスターを倒したり宝箱から手に入れたゴールド(収益)から、宿屋代や装備や道具を買うために使ったゴールド(費用)を引いて、残ったゴールドと手に入れた経験値が利益となります。
貸借対照表(Balance Sheet、B/S)
貸借対照表(B/S)は、特定の時点における企業の財務状態を示します。P/Lは特定の期間のお金の出入りを見ましたが、B/Sはその日の自社にどれだけの“モノ”があるか記録するものとイメージするとわかりやすいかもしれません。

- 資産:企業が所有する財産(現金、設備、土地など)。
- 負債:企業が返済すべき借金や義務。
- 純資産:資産から負債を引いた企業の自己資本部分。
「強いボスを倒すための高額な装備品を王様からの借金で購入した」という状態のRPGゲームで例えるなら、その時点での装備品や道具袋の中のアイテム、手元にあるゴールド、経験値が資産になります。一方で、王様からの借金は負債になります。資産から負債を引いて残ることになるゴールドと経験値が純資産です。
ステークホルダーが注目する「ROA」とは?
総資産利益率(Return On Assets、ROA)とは、企業がどれだけ効率的に経営しているかを測るための重要な指標で、B/Sの総資産とP/Lの利益から導き出すことができます。

ROAが高いという事は資産を有効に活用しているという事であり、経営効率が良いという事になります。一般的にROA5%以上が優良とされていますが、業種の違いや会社を取り巻く環境、総資本の規模などによって目安が異なるので注意が必要です。総じて大規模な設備が必要な製造業などのROAは低くなりますし、設備が必要ない業種では高くなる傾向があります。
また、設備投資や新規事業立ち上げのためにお金を借りると、負債と共に資産が大きくなるので、ROAは低くなる傾向があります。ただ、順調に利益が伸びればそれに合わせてROAも高くなってきます。
一方で、ROAが高い数値でずっと続いているという事は、必要な投資が行われていないという事も考えられます。ROAを見るときは単年だけではなく、数年に渡る推移を確認して、企業の成長戦略を把握することも重要になります。

引き続きRPGで例えるなら、自身の戦力(資産)でどれだけ効率的にゴールドと経験値(利益)を稼げるかという事になります。
先ほど「業種によってROAは異なる」と書きましたが、ジョブによって異なるとイメージするとわかりやすいかもしれません。重厚な装備を買いそろえる必要がある“戦士”や、戦闘のたびにMPの回復薬が必要な“魔法使い”のROAは低くなります、一方で素早さで勝負する“格闘家”や“盗賊”は必要な投資が少ないのでROAは高めの数値になります。
新しいエリアに入って装備一式を一気に買い揃えるとその時点でのROAは低くなりますが、強敵と戦って強くなるにつれてROAは高くなっていきます。ただ、ROAの数値が高い状態のまま続いているという事は状況が何も変わっていないという事にもなります。そろそろ必要な投資を行い戦力を向上させ、次のエリアに向かいさらなる強敵に挑むときです。
ROAを向上させるには?
ROAを求めるには分母に資産を置き、分子に利益を置くことになります。つまり、ROAの数値を高めるには、分母と分子になる数値を改善するという事になります。
- 分子:利益率を上げる(P/Lに注目!)
- 分母:資産を減らし適正化する(B/Sに注目!)
利益率を上げる
まずは分子となる利益を高くすることが必要になります。具体的には「費用を増やさずに収益を増加させる」もしくは「収益を減らさずに費用を減少させる」のいずれかになると思います。一般的に収益を増やすためには費用が増加するので、業務の効率化で無駄を省いたり、不要な設備の維持費を削減するなど、収益を維持したままかかる費用を減らす方向性が望ましいと思われます。
資産を減らし適正化する
分母となる資産を「オフバランス化」という手法で減らすことでROAの改善を図ることもできます。利益につながらない土地や建物、設備を売却したり、不良在庫を処分する、また、設備をリース取引にしたり、自社ビルを賃貸に切り替えると、記録上は資産ではなく費用という扱いになるので資産のスリム化につながり、ROAを高めるのに有効です。

経営効率の上昇に太陽光PPAが力になるわけ
PPA(Power Purchase Agreement)とは「電力販売契約」のことで、太陽光発電のPPAモデルでは太陽光発電設備の所有や管理を行う専門会社(PPA事業者)と契約することで、PPA事業者が自社内のスペースに発電設備を設置し、そこで発電された電力を契約に基づく固定価格で購入・使用する仕組みです。
この「太陽光発電PPA」が経営効率の向上の一助になる理由としては以下が考えられます。
- 経費を削減して利益率が上がる
- 設備の設置・維持のためのコストを削減できる
- 資産を増やさずに太陽光発電設備が使える
- 資産の最適化が図れる
経費を削減して利益率が上がる
エネルギー価格の高騰が問題視されるなかで、発電した電力を使用できる太陽光発電はコストカットの大きな力となります。電力会社から購入する電力量を減らし、電気料金を削減することができますし、国や地域から課される再生可能エネルギー賦課金の負担を軽減できる場合もあります。また、化石燃料の購入や価格変動による影響を受けにくいので、長期的なコストの安定化も見込めます。
設備の設置・維持のためのコストを削減できる
PPAモデルでは、太陽光発電設備は自社保有ではなく、PPA事業者が所有していることになるので、メンテナンス費用については基本的にPPA事業者が負担することになります。また、太陽光発電設備を設置するための初期費用もPPA事業者が負担することになるので、導入へのハードルは大きく下がります。
資産を増やさずに太陽光発電設備が使える
太陽光発電設備がPPA事業者の所有となるので自社の資産として計上されません。そのため、資産の増加を回避してバランスシートの軽さをキープすることができます。
資産の最適化が図れる
遊休地や建物の屋根などを活用できるので、無駄な資産を“使える資産”に変えることができます。先述の通り、設備自体はPPA事業者の所有になるので、資産規模を増やさずに効率的なエネルギー利用が可能になります。
太陽光PPAで経営効率を高めながらブランド力もアップ!
他にも太陽光発電を利用することは、脱炭素経営を推進して環境負荷を軽減することができ、自社のブランド力を高めるという副次的な効果も期待できます。経営効率を向上させながら自社のブランディングにも役立つ可能性を秘めた太陽光PPAについて検討してみるのはいかがでしょうか。今なら無料の資料をダウンロードできるので、そちらもぜひご覧ください。