少子高齢化による入校者数の減少、電気代や人件費の高騰などによって、難しい運営を強いられている学校法人が増えています。
そこで本記事では、利益率の改善に関心のある学校法人の経理担当者向けに、学校法人向けの経費削減策をご紹介します。
すぐに実行できるコスト削減策もあるので、短期的に経費削減を実現したい学校法人運営者はぜひご参考にしてくださいませ。
学校法人のコストの種類
学校法人が運営するには、多様なコストが発生します。
主なコストは、教員や事務員の人件費、施設の維持に必要な管理費、授業や特別活動に必要な経費に大別されます。経費の割合は、教育の質と安全な環境の提供に深く関わっており、バランスを保つことが求められています。
次に、具体的なコストの種類について詳しく見ていきましょう。
コストの種類
学校法人のコストは大きく3つに分けられます。
人件費は、教員や事務職員といった常勤・非常勤の職員の給与として、コスト全体の大部分を占めています。
教育研究費も重要な要素で、授業や特別活動に必要な材料費、修学旅行などのイベント運営費が含まれます。
さらに、学校の管理運営に必要な委託費、光熱水費、消耗品費、印刷費などが存在します。これらは、日常の学校活動をスムーズかつ安全に進行させるために不可欠なものです。
削減しやすいコスト
削減しやすいコストとしては、電気・水道などの光熱水費や、消耗品費、印刷費が挙げられます。
水道光熱水費は、節約のためにLED照明への切り替えや節水設備、太陽光発電の導入が効果的です。
消耗品費や印刷費に関しては、デジタル化を進めることで紙の使用を減らし、複合機の利用頻度を抑えることが考えられます。
日常の工夫やIT技術の導入で経費削減が期待できる分野です。
削減しにくいコスト
削減が難しいコストには、人件費や施設管理費が挙げられます。
人件費は、教師や事務員の給与に加え、安定した教育環境を維持するために必要不可欠であるため、削減の影響が大きい領域です。
また、施設の安全管理費用も、清掃や設備保守といった安全確保のために必要であり、これらを削減することは直ちに教育の質や安全性に影響すると考えられます。
学校法人のコスト削減方法
学校法人が運営を持続可能かつ効率的に進めるためには、経費の削減が不可欠です。ここでは、コスト削減の工夫も紹介いたします。
電気代の削減方法
空調温度を適切に管理する
学校の空調管理において、温度設定はとても重要です。
季節に応じた適切な温度設定を行うことで、電力の無駄を抑えることができます。
具体的には、夏季は28℃、冬季は20℃に設定することが推奨されており、適切な温度管理で最大で電気代が30%も削減できる可能性があります。
LED照明に切り替える
LED照明は、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて効率的です。電力消費を抑えつつ、長寿命であることから、維持費も削減できます。
学校内の照明を順次LEDに切り替えることにより、長期的には大幅なコスト削減が期待できるでしょう。
電力プランを見直す
電力会社との契約プランを見直したり契約先を変更することで、電気代を削減できる可能性があります。
複数のプランや電力会社を比較検討し、自校に最適なプランを選ぶことが重要です。
また、支払方法を口座振替にすることで割引が適用される場合もありますので、支払方法も併せて見直しましょう。
太陽光発電を導入する
脱炭素化の流れを受け、太陽光発電の導入は学校法人にとっても有効な選択です。
初期投資は必要となりますが、長期的には電気代の大幅な削減と、環境への負荷軽減に寄与します。各種補助金制度の利用も検討しましょう。
太陽光発電のメリット・デメリットについては下記の記事をご一読くださいませ。
水道代の削減方法
節水システムを導入する
節水システムの導入により、日常的な水の使用量を抑えることができます。
具体的には、トイレや蛇口に節水機器を設置することで、無駄な水の使用を減らし、コストを大きく削減することが可能です。
プールクリーナを導入する
プールの管理には多量の水が必要です。プールクリーナを導入することにより、効率的にプールの掃除とともに水の交換頻度を減らすことができます。
水道代を削減しつつ、衛生状態を保つことができます。
通信費の削減方法
通信プランを見直す
定期的に複数の通信業者にプランの提案を依頼し、コストと運用面のバランスが取れた最適なプランを選定しましょう。
通信プランは多種多様であり、学校の使用状況に最も適したものを選ぶことで、費用を効果的に削減できます。
有料オプションを解約する
不要な有料オプションはこまめに解約することで、通信費を削減できます。
例えば、携帯電話のキャッチホンや電話帳バックアップなど、必要性が低いオプションについて見直しを行いましょう。
その他のコスト削減方法
損害保険を見直す
損害保険の内容や契約条件を見直すことで、不要な支出を抑えることができます。
他社との比較を行ったり、プラン変更により、保険料を最適化しましょう。また、保険代理店との交渉を通じて、支払い条件を見直すのも一つの方法です。
クラウド化を推進する
クラウド技術の導入により、学校のデータ管理や書類保管の手間を効果的に削減することができます。
クラウド化を進めることで、ハードウェアの維持費や管理コストを抑えることができます。
学校法人でコスト削減するときの注意点
学校法人におけるコスト削減は、単に費用を減らすだけではなく、長期的な視点も持つことが肝要です。
特に「人件費」や「教育研究費」といった教育機関の核心にある部分の削減は教育の質に直結するため、注意が必要です。
生徒の満足度や教育の質を低下させることは、長期的には学校法人の売上減を招くリスクがあるため、慎重に判断しなくてはなりません。
【学校法人でコスト削減するときの注意点】
- 職員や生徒への理解を浸透させる
- 本業に支障を来さないようにする
- 長期的なコスト削減計画を作成する
職員や生徒への理解を浸透させる
コスト削減を成功させるためには、まずは職員への理解と協力を得ることが重要です。
職員がコスト削減の必要性や方法を理解していない場合、働き方への抵抗感から業務効率が低下する可能性があります。
説明会や資料配布を通じて、削減の背景や目標を明確に伝え、職員全員が同じ方向を向いて取り組めるようにしましょう。
職員の協力が得られれば、削減の影響をマイナスに感じることなく進めることができます。
本業に支障を来さないようにする
学校法人は、教師や生徒にとって最適な教育環境を整えることが最優先です。
そのため、コスト削減を行う際には、本業である教育活動に支障が出ないよう配慮する必要があります。たとえば教材や設備の更新を怠ると、教育の質が低下する原因となります。
コスト削減の範囲を明確に設定し、本業に重要な影響を与えない部分から始めることが望ましいです。
長期的なコスト削減計画を作成する
短期的な視点でのコスト削減は、一時的な効果しか得られない場合が多いため、長期的な計画を作成することが求められます。
5年、10年先を見据えた計画を立て、段階的に削減を進めることで、教育の質を維持しつつ、持続可能な運営を目指しましょう。
また、長期的な計画を職員と共有し、定期的に見直すことで、計画の精度を高め、柔軟な対応が可能となります。
学校法人はコスト削減の余地が大きい
学校法人では、細かな支出を見直すことで、多くのコスト削減の余地があります。
例えば、施設の維持管理費用や備品の調達費など、日々の運営費用を見直すことで、無駄を削減できます。また、デジタル技術の活用や省エネ対策を進めることで、運営コストを削減しつつ、環境負荷の軽減も図ることができます。
こうした取り組みを通じて、学校法人の利益率の改善を図ることができるでしょう。
コスト削減、省電力化、太陽光発電に興味のある学校法人様は、「脱炭素LABO」にお気軽にご相談くださいませ。節電シミュレーションから最適な補助金選びまで総合的にサポートさせていただきます。