売電収入や電気代削減を目的として企業の間で広まっている太陽光発電ですが、発電した電気の買取価格は国が指定した固定の価格で販売することができます。いわゆるFIT制度というものです。
この記事では、FIT制度(固定価格買取制度)について解説していきます。
FIT制度(固定価格買取制度)とは
FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を促進するために政府が設けた制度です。
再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。
引用元:資源エネルギー庁|よくある質問 FIT・FIP制度
この制度では、太陽光、風力、水力、バイオマスなどから生成される電力を一定の価格で電力会社が買い取ることを義務づけています。これにより、再生可能エネルギーの発電を推進し、環境負荷の軽減を図っているのです。
FIT制度が対象としている再生可能エネルギーは下記のとおりです。
太陽光発電 | 太陽の光エネルギーを太陽電池で直接電気に換えるシステム。 |
風力発電 | 風の力で風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて電気を起こす。 |
水力発電 | 河川などの高低差を活用して水を落下させ、その際のエネルギーで水車を回して発電。 |
地熱発電 | 地下に蓄えられた地熱エネルギーを蒸気や熱水などで取り出し、タービンを回して発電。 |
バイオマス発電 | 動植物などの生物資源をエネルギー源にして発電 |
FIT制度(固定価格買取制度)の仕組み
FIT制度の仕組みは、まず発電事業者が再生可能エネルギーを使って電力を生成します。その後、電力会社があらかじめ定められた固定価格でその電力を一定期間にわたって購入する仕組みです。
この固定価格は政府によって設定され、発電コストに加えて適正な利益を確保できる水準に調整されています。また、費用は電力料金に上乗せされ、消費者が負担する形となります。
こうして、発電事業者には安定的な収益が保証され、再生可能エネルギー投資の促進が図られているのです。
FIT制度(固定価格買取制度)の背景
FIT制度が導入された背景には、地球温暖化対策やエネルギー自給率の向上といった重要な課題があります。特に福島第一原発事故以降、日本は再生可能エネルギーの必要性を強く認識するようになりました。
また、国際的な気候変動対策の一環として、二酸化炭素排出量の削減が求められています。
日本は再生可能エネルギーの浸透が欧米諸国よりも遅れているため、国際的な課題感もあり、政府としても太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーの普及を強めています。
既存の化石燃料に依存したエネルギー構造から脱却し、持続可能なエネルギー供給体制を確立するためにも、FIT制度が重要な役割を果たしているのです。
2024年度の太陽光発電のFIT買取価格
2024度のFIT買取価格については経済産業省のWEBサイトに記載されていますので、こちらで確認することができます。
住宅用太陽光発電・事業用太陽光発電(入札対象外)
電源 | 規模 | (参考)2023年度 上半期 | (参考)2023年度 下半期 | (参考)2024年度 | 2025年度 |
住宅用太陽光発電 | 10kW未満 | 16円 | 16円 | 15円 | |
事業用太陽光発電(地上設置) | 10kW以上50kW未満 | 10円 | 10円 | 10円 | |
50kW以上入札対象外 | 9. 5円 | 9. 2円 | 8. 9円 | ||
事業用太陽光発電(屋根設置) | 10kW以上50kW未満 | 10円 | 12円 | 12円 | 11. 5円 |
50kW以上 | 9. 5円 |
※ FIT制度では、事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満)について自家消費型の地域活用要件が設定されています。
屋根設置型の事業用太陽光発電は割り増し価格で売電できる
屋根設置型の事業用太陽光発電は特定の条件を満たすことで、割増価格での売電が可能です。
2025年度からは、同じ10kW以上50kW未満であっても、地上設置型では8.9円に対して、屋根設置型は11.5円とかなり優遇された価格で売電することができます。
太陽光発電については、発電する場所とその電力を使用する場所が近いほど効率よく電力を運用することができます。そのため、太陽光パネルは事業所の屋根へ設置することが推奨されていましたが、屋根への負担や導入費からなかな浸透していませんでした。
そのため、国としては屋根設置型の事業用太陽光発電についてはFIT価格を優遇することで、事業者には屋根を活用した太陽光発電の導入を促進しています。
正しくFIT制度を理解して省エネ対策を行おう
この記事では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入する企業にとって大切なFIT制度(固定価格買取制度)について解説しました。
FIT価格によって、再生可能エネルギーを導入している事業者の収支計画は大きく変動します。
太陽光発電の導入を検討している企業様は、現在、そして今後のFIT価格の動向を事前に把握することで、収支計画を正しく作成することができるでしょう。