電気代が高騰している中で、製造業はコスト管理が急務となっています。
そこで本記事では、製造業で発生するコストの種類とコスト削減方法について解説します。
製造業のコストの種類を確認しながら削減すべきものを把握しつつ、自社で実行できるコスト削減策を見つけていきましょう。
製造業のコストについて
製造業のコスト削減策を見る前に、コストの種類と削減しやすいコストの把握が重要です。
製造業のコストの種類
製造業のコストは大きく製造原価と販売費及び一般管理費に分けられます。
製造原価は、直接製品に関連するコストであり、材料費、労務費、経費が含まれます。材料費は原材料や部品の費用、労務費は製造に関わる従業員の賃金、経費は工場の運営にかかる費用が該当します。
一方、販売費及び一般管理費は、製造工程に直接関係しないコストであり、広告宣伝費や管理職の賃金、水道光熱費、研究開発費などが含まれています。
削減しやすいコスト
削減しやすいコストは、製造原価よりも販売費及び一般管理費が該当します。
特に事務用品費や消耗品費、オフィスの水道光熱費は、日常の節約意識を高めることで削減が可能です。また、広告宣伝費の配分見直しや営業手法の改善によって費用を圧縮することも有意義でしょう。
福利厚生費においても、従業員のモチベーションを損なわない範囲で、無駄な制度を見直すことが効果的です。
削減しにくいコスト
削減しにくいコストは、製品品質に直結する製造原価です。
材料費や労務費だけの単純な削減は難しいだけでなく、品質に悪影響を及ぼすリスクがあります。そのため、新たな製法を導入することで、品質を維持しつつコストを削減する努力が必要です。
また、労務費削減についても、マニュアル整備による教育コストの低減など間接的な方法で徐々に実現を目指すことが求められます。
このような地道な取り組みは短期的には効果が見えにくいものの、長期的には大きな経費削減効果が期待できるでしょう。
製造業のコスト削減方法
次に、具体的な製造業のコスト削減方法をお伝えします。
【製造業のコスト削減方法】
- 電力プランを見直す
- LED照明に変更する
- 太陽光発電を導入する
- ガスプランを見直す
- 地下水を利用する
- 通信プランを見直す
- DXツールを導入する
電力プランを見直す
電力の自由化に伴い、さまざまな新電力プランが存在します。
自社の使用状況に最も適したプランを選ぶことで、電力コストを大幅に削減できる可能性があります。複数の電力会社から見積もりを取得し、契約内容や契約先の見直しを検討しましょう。但し、新電力会社によっては、燃料費等調整単価が大きく変動するリスクを伴う場合があるので、注意する必要があります。
また、電力使用のピークシフトを行うことで、契約容量を下げることも可能です。
ピークシフトとは:電力需要が高まるピーク時の電力消費を抑えて、比較的に電力使用量が少ないオフピーク時間帯への移行を促すことで電気代の削減を目指すことです。
ピークシフトによって電気料金を削減できる場合があるので、自社の電力使用状況を把握することが大切です。
また、電力会社の変更、電力プランを変更する際は事前に下記の書類を準備しておくとスムーズです。
引用元:電力会社の切り替え方法|経済産業省 資源エネルギー庁
LED照明に変更する
LED照明はエネルギー効率が高く、長寿命であるため照明コストの削減につながります。LED照明への変更はコストはかかるものの、長期的なコスト削減効果は大きいです。自治体等による公的助成制度を活用することで、投資コストが抑えられる可能性もあります。
引用元:LED照明器具も「省エネ基準」の対象に~先進技術にも対応するトップランナー制度|経済産業省 資源エネルギー庁LEDを使った照明器具や電球は、省エネ性にすぐれ、寿命が長いという特徴をもっています。
また、LED照明は発熱が少ないため、空調費用の削減にもつながります。LED照明は工場内温度の保持に貢献するため、空調設備の電力使用量の削減にも貢献します。
太陽光発電を導入する
太陽光発電で電力を自家発電することで電気料金を大きく削減することができます。また、余剰電力を売電することで収入を得ることも可能です。
太陽光発電は長期間にわたる導入に向いており、電気代削減とともに、環境負荷を低減するメリットも。自社の立地条件を考慮した上で、最適な設置方法を検討することが重要です。国や自治体等の公的助成制度を活用することで、投資コストが抑えられる可能性もあります。
法人が太陽光発電を導入するメリット・デメリットについてまとめている記事もあるので、併せてご参考ください。
ガスプランを見直す
都市ガスの自由化に伴い、企業のガス使用状況に応じたガスプランを利用できるようになりました。
複数のガス会社のプランを比較検討し、自社の使用状況に最適な契約を選ぶことでコスト削減を実現できるでしょう。
【ガスプランを見直すときの注意すべきポイント】
- ガス小売事業者の社名や連絡先
- 代理、媒介、取次ぎの場合、当該代理・媒介・取次ぎ業者の事業者名や連絡先
- いつからガスを供給するのか?
- 契約期間はいつからいつまでか?
- 契約期間満了後の契約更改手続きはどのようになるのか?
- 毎月のガス料金はいくらか?どうやって算定するのか?
- 通常の手続きに加え必要な工事などがある場合、消費者が負担する費用について
- ガス料金の割引がある場合、それはいくらか?割引の対象期間はいつまでか?
- 契約期間内に解約する場合の制約はあるのか?解約手数料などは発生しないのか?
- ガス小売事業者や消費者などが果たすべき保安上の責任はどういったものがあるのか?
地下水を利用する
工業用水や冷却用水として地下水を利用することで、水道料金の削減が見込めます。
ただし、地下水の利用には水質や設備の導入に関する調査と検証が必要です。
調査と地下水への切り替えには費用が発生する可能性がありますが、長期的には水道代の削減につながる可能性があります。
通信プランを見直す
通信費は見直しやすいコストの一つです。通信手段の多様化により、自社に適したプランを選ぶことでコストを削減できるでしょう。
特にネット回線や社用携帯のプラン見直しは手軽にできるので、複数の通信会社から見積もりを取得し、定期的に契約条件を再確認することをおすすめします。
DXツールを導入する
デジタル変革(DX)ツールを導入することで、業務効率を向上させ、労務費や業務関連経費を削減可能です。
特に、Web会議システムや業務管理ソフトウェアを活用することで、リモートワークを推進しオフィスコストを減少させる効果があります。
企業全体でIT技術を活用することで、無駄なコストが排除でき、迅速な意思決定が可能となるでしょう。
また、企業のDXツールの導入については国がさまざまな補助金を設けているので、DXツールの導入を検討している方は併せて補助金についても確認しておきましょう。
引用元:IT導入補助金2024
製造業でコスト削減するときの注意点
次に、製造業がコスト削減を実行するときの注意点をお伝えします。
【製造業でコスト削減するときの注意点】
- 従業員に共有する
- 厳しい目標を設定しない
- 過度な経費削減に気をつける
従業員に共有する
コスト削減を進める際は、従業員への目的意識の共有が欠かせません。
企業全体の目標や各施策の目的を説明し、従業員が同じ方向を向いて取り組めるようにすることが求められます。
透明性が高まると、従業員の経費削減へのモチベーションが維持されやすくなり、新たな改善案を提案するなどの積極的な行動も期待できます。
厳しい目標を設定しない
コスト削減の目標を設定する際は、現実的で達成可能な範囲内で行うことが肝要です。
過度に厳しい目標やルールは従業員が心理的な負担を感じ、業務に支障をきたすおそれがあるでしょう。
企業としては、従業員が主体的に取り組める環境を整えることが大切であるため、無理のない範囲のコスト削減計画を作成することが大切です。
過度な経費削減に気をつける
製造業において過度な経費削減は、製品の品質やサービスの低下を招く危険性があります。
必要な経費と不要な経費をしっかりと区別し、特に製品や企業の信頼性に影響を与えるようなコスト削減は慎重に行うべきです。
目先のコスト削減にとらわれず、長期的な効果やリスクを考慮した戦略で、企業の持続可能な成長を目指すことが重要です。
製造業のコスト削減の余地は大きい
製造業では、効率化や技術革新の導入によって大きくコスト削減できる可能性があります。
不必要な工程を見直し、最新技術を活用した生産プロセスを取り入れることで、コストの最適化を実現できるでしょう。
「脱炭素LABO」では、製造業のコスト削減に寄与する省電力化や太陽光発電の導入、補助金取得を支援しています。
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