世界的に環境負荷の軽減が求められるなか、「再生可能エネルギー」の利用へシフトすることが必須の課題とも言われています。
とはいえ、現在では当たり前のように使われている「再生可能エネルギー」というキーワードについて誰かに説明しようとしたら、意外と細かいところが怪しい人も多いのでは……。
そこで、本記事では今さら人に聞けない「再生可能エネルギー」について簡潔に解説しつつ、企業にとってどの様な関りを持つようになるのか紹介したいと思います。
再生可能エネルギーとは?
まず、私たちの生活に欠かせない電気を作り出すには、エネルギー源とそのエネルギーを電力に変換する仕組みが必要です。そのエネルギー源となるもののひとつが「再生可能エネルギー」です。
再生可能エネルギーは、自然界に常に存在するエネルギーであり、人間の活動に利用したとしても自然に再生されます。つまり、「枯渇しない」で「どこにでも存在する」エネルギーという事になります。

再生可能エネルギーの種類
日本においては、平成21年8月施行の「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」および「同施行令」において、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(動植物に由来する有機物)、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存在する熱の7種類が再生可能エネルギーとして定義されています。
太陽光 | 太陽の光を利用して電気を生成。設置場所に制限が少なく、住宅の屋根や空き地を活用可能。天候に左右されやすいのが課題。 |
風力 | 風の力で風車を回して電気を生成。陸上と洋上で設置可能で、特に洋上風力は将来性が高いとされている。設置場所が限定されることや、風の強さに依存する点が課題。 |
水力 | 水の流れや落差を利用して電気を生成。安定した電力供給が可能で、長期間稼働できる成熟した技術。大規模な設備が必要で、環境への影響も考慮する必要がある。 |
地熱 | 地下の熱エネルギーを利用して電気を生成。火山国である日本に適しており、安定した電力供給が可能。適した場所が限られており、開発に時間がかかる。 |
バイオマス | 動植物由来の有機物を燃料として電気を生成。廃棄物の再利用が可能で、環境負荷を軽減。燃料の収集や輸送コストが課題。 |
太陽熱 | 太陽の熱を集めて温水や暖房に利用。エネルギー効率が高く、家庭や施設での利用が進む。ただし、発電には直接関与しないため、用途が限定される。 |
大気中の熱その他の自然界に存在する熱 | さまざま形態が存在するが、一例として雪氷熱利用がある。冬に保存した雪や氷を夏に冷房や冷蔵に活用。地域限定の技術であるため、普及には限界がある。 |
再生“不”可能エネルギーとは
一方で、再生“不”可能なエネルギーとは、一般的に化石燃料と呼ばれる、古代の動植物の死骸が地中に堆積して変化した、石炭や石油、天然ガスなどを資源にして得られるエネルギーのことになります。
コストパフォーマンスが高く、貯蔵・輸送がしやすいというメリットがあるので、発電だけでなく、灯油やガソリンに加工されたり、プラスチックの原料として使われるなど、現在の人間の活動で幅広く利用されています。
ただし問題点として、化石燃料資源が自然界で生成されるには数百万年という時間が必要になるのに、現在の消費速度が生成速度をはるかに上回っており、いつかは枯渇してしまうという点があげられます。
また、化石燃料資源をエネルギーに変換する際には大量の二酸化炭素(CO2)をはじめ、硫黄酸化物や窒素酸化物などが排出されます。
CO2は、太陽の熱を吸収・放出することで温室効果を引き起こす温室効果ガスの一つです。温室効果ガスが増えすぎると、大気中で太陽の熱を蓄積してしまい、地球温暖化が加速してしまうというのが一般的な見方です。
また同時に、硫黄酸化物や窒素酸化物の濃度が高くなると、酸性雨を降らせる原因にもなります。酸性雨による自然環境への悪影響も見過ごせない問題のひとつです。
再生可能エネルギーが重要視される点
私たちの生活には欠かすことができない再生“不”可能エネルギーですが、このまま使い続けることには大きなリスクを伴うことが分かります。その点からも今後は再生可能エネルギーへシフトしていくことが重要になります。
CO2の削減
化石燃料の燃焼に比べてCO2の排出量が格段に少ないため、地球温暖化の進行を抑えることが期待できます。
環境保護
自然界の資源を繰り返し利用できるため、環境破壊を最小限に抑えることが可能。
また、酸性雨による自然環境への悪影響も抑止できる。
永続利用
国内で供給可能な資源を利用することで、輸入依存度を減らしてエネルギーの安定供給を実現できる。
化石燃料資源の枯渇リスクや価格変動への対応がしやすくなる。
企業にとっての再生可能エネルギー
人類が持続可能な形でこれから先の未来を作っていく上で無視できない再生可能エネルギーは、企業が活動を続けていく上でも無視できない存在です。そして、積極的に再生可能エネルギーにシフトすることは単なる「環境への配慮」以上の戦略的な価値を持つことになります。
コスト削減
再生可能エネルギーの導入は、初期コストこそ必要ですが、運用コストが比較的低いため、長期的にはエネルギーコストの削減が期待できます。
自家消費型の太陽光発電設備を導入すれば、電力会社からの購入量を削減でき、電気料金の高騰にも対応できます。
ブランド価値・企業イメージの向上
環境への配慮を示すことは、消費者や投資家からの信頼を得る重要な要素となります。
サステイナビリティ(持続可能性)に取り組む企業として評価され、取引先や顧客との関係も強化できます。
法規制への対応とリスク管理
各国で進む環境規制の強化に備えるため、再生可能エネルギーを利用することで法的リスクを回避できます。
特に、炭素税や排出量取引制度の導入により、化石燃料に頼り続ける企業にはコスト増加のリスクがあります。
新たな収益源の創出
発電した余剰エネルギーを売電することで収益を得ることも可能です。
再生可能エネルギー技術の開発や提供をビジネスチャンスとして活用する企業も増えています。
投資家や株主の期待に応える
ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が広がる中、再生可能エネルギーへの取り組みは投資家からの注目を集めるポイントとなります。
従業員モラルの向上
環境問題に取り組む姿勢は、従業員の誇りや士気の向上にも寄与します。特に、若い世代にとっては重要な価値観となっていると言えます。
再生可能エネルギーを上手に活用してよりよい未来を
今後、ますます身近になっていくであろう再生可能エネルギーですが、自然由来であるがゆえに発電量が天候などの影響受けるといった懸念点があり、発電のコストが高い、エネルギー変換効率が悪いという課題もあります。
今後の技術革新でそのような点が解消されていくことが期待されますが、とはいえ、企業活動を続けていくなかで、先んじて手を打つことは必要な戦略です。様々な種類を持つ再生可能エネルギーのなかで、現時点では太陽光による発電が積極的な投資の対象となるのは間違いないと言えるでしょう。
人類が築くであろう持続可能な未来で企業経営を続けるのであれば、まずは太陽光の導入を検討するべきではないでしょうか。太陽光発電を有効に企業に取り込む方法に興味があれば、ぜひ無料ダウンロードできる資料をご活用ください。