大型施設における節電工事がもたらす年間削減コストは？ 事例別に解説

高騰する電気料金の即時的な対策として、大きな注目を集める節電工事。もはや必須とも言える経費削減対策となっていますが、では実際にはどれくらい節電＝電気料金を下げることができるのでしょうか？

そこでこの記事では、工場などの大型機器を有する環境で節電工事を行った際の年間削減コストの例を紹介していきます。

大型施設における節電工事の例

節電工事による年間削減コストは、具体的な施設の規模や設備、実施する省エネ対策によって変わってきます。以下は、一般的な傾向や具体例となります。

節電工事の事例

あるショッピングモールでは、全ての照明をLEDに切り替える工事を実施。多くのオフィスが入る大型ビルでは、空調システムの見直しを敢行しました。

大型工場ではデマンドコントロールシステムを導入し、ピーク時の電力使用を抑制。大型物流センターでは施設の規模を活かし、屋上に太陽光発電システムを設置しました。

超高効率変圧器を導入したのは、ある大型製造業。使用する機器やプロセスによって必要な電圧レベルが異なるため、超高効率変圧器を用いて適切なレベルに変換することで、電気の損失を最小限に抑えることができます。

事例別：節電工事による年間削減コスト

次に、上記の施策を実際に行った際の具体的なコスト削減例を紹介します。環境に合わせた節電工事を行うことで、より効率的な節電につながります。

LED照明化

営業時間中は常に大量の照明を使用し続けるショッピングモール等では、全ての照明をLEDに切り替えるのが効果的でしょう。これにより電気代が50～60％削減され、年間では1,000～1,500万円のコスト削減が期待できます。

空調システムの最適化

冷暖房の常時過剰が必須となっているオフィスビルでは、空調システムに大きな電力を要します。そこでエネルギー効率の高い空調機器に交換すると、年間の電気代が約20％削減されCO2排出量を減少させることにもつながります。

デマンドコントロールシステムの導入

ある大型工場ではデマンドコントロールシステムを導入し、ピーク時の電力使用を抑制しました。電気使用量を監視し警告してくれる同システムにより、年間で約2,000万円の電気代削減を実現しました。

太陽光発電システムの設置

施設の規模が大きくなる物流センターでは、屋上に太陽光発電システムを設置。年間で約1,000万円の電気代と共に、CO2排出量も削減しています。発電した電力は自施設で使用するほか、余剰電力を売電することも可能です。

超高効率変圧器の導入

様々な機器が稼働する大型製造業では超高効率変圧器が功を奏するでしょう。大型のモーターや機械設備など、高負荷の機器に対しても安定した電力供給を行うことができます。電気の損失を最小限に抑え、効率的かつ持続可能な運用によって、年間で約700トンのCO2削減が実現され電気料金も大幅に削減されます。

節電工事のキモは「適材適所」にあり

一般家庭用の節電と異なり、工場や商業施設、オフィスビルなどにおける節電工事は目標を明確化することが重要です。そのためには現状の電力消費の傾向をしっかり把握・分析し、もっとも適した機器やシステムを導入することが効率的な節電、そして環境への配慮にも繋がるでしょう。