自宅でも実施できるエコ活動、節電対策として広がりつつあるエネファーム。
2009年に販売を開始したエネファームは、2023年時点で50万台を突破しており、今後も多くの家庭で導入されることが期待されています。
本記事では、エネファームの仕組み・メリット・デメリットなどをお伝えします。
節電や環境保全に興味のある方はぜひご一読ください。
エネファームとは
エネファームとは、ガスを利用して家庭内で電力と給湯を同時に供給することができる家庭用燃料電池システムです。
エネファームは、わが家で電気をつくり、お湯も同時につくり出す家庭用燃料電池です。「エネルギー」と「ファーム=農場」を組み合わせて名付けられました。
引用元:エネファームって?|日本ガス協会
日本では、パナソニックや京セラなどがエネファームを開発しており、近年その注目度は増しています。
高効率で環境に配慮したエネファームは、初期費用が発生してしまう一方で、長期的には省エネと節約が期待できます。
エネファームの仕組み
エネファームの主な仕組みは、ガス(都市ガスやLPガス)から水素を取り出し、それを空気中の酸素と化学反応させることで電力を生み出すことです。
引用元:エネファームって?|日本ガス協会
このプロセスでは発電と同時に熱も発生するため、その熱を利用してお湯を沸かすことができます。つまり、電力と給湯の両方を効率的に利用することができるのです。
また、発電時に生じる排熱を活用することで、エネルギー利用効率をさらに高めることも可能です。
エネファーム自体は静音で運転し、環境負荷の低いクリーンなエネルギー供給を実現しています。
エネファームの普及率
エネファームの普及率は、徐々に増加しています。
初期費用が高いため、導入に慎重になる消費者もいますが、省エネ効果やCO2排出削減効果から環境意識の高まりとともに普及が進んでいます。
2023年度には累計50万台の導入が実現されているため、世帯数で言えば、全世帯のおよそ1%が導入している計算です。
引用元:エネファームって?|日本ガス協会
特に都市部では、電気料金の高騰や災害時の電力確保の観点から注目され、集合住宅にも採用例が増えているようです。
近年では新築住宅やリフォーム時にエネファームを導入する家庭が増えている状況です。
将来的には更なる技術改良とコスト削減により、さらに多くの家庭で採用されることが期待されるでしょう。
エネファームのメリット
エネファームを導入することでさまざまなメリットがあります。これらのメリットを理解した上で、導入を検討する際の参考にしてみてください。
【エネファームのメリット】
- 電気代を削減できる
- ガス代割引を適用できる
- 災害時にも発電できる
- 太陽光発電との相性が良い
電気代を削減できる
エネファームは自宅で電気を作り出すシステムであり、そのため電力会社から電気を買う必要がなくなるため、家庭の電気代を大幅に削減することが可能です。
通常、電気は発電所から送られてくる際に送電ロスが発生しますが、エネファームの場合そのロスがありません。効率的にエネルギーを利用できるのです。
引用元:エネファームって?|日本ガス協会
ガス代割引を適用できる
ガス会社の中にはエネファームを導入することによってガス料金が割引になるプランを提供しているガス会社もあります。大阪ガスや東京ガスがその代表例です。
エネファームはガスを利用して発電するため、電気代が安くなる一方でガス代が増加する傾向があります。
しかし、これらの割引プランを活用すれば、トータルの光熱費を抑えることができる可能性があります。
特に都市ガスと契約している家庭ではガス代の増加を気にせず、エネファームの恩恵を受けることができる場合があります。
災害時にも発電できる
エネファームは災害時にも非常に頼りになるシステムです。台風や地震などの自然災害が発生した際、送電線にトラブルが起きて電気が使えなくなることがあります。
しかし、エネファームがあれば自宅で電力を供給できるため、災害時でもいつも通りに電気が使えます。
最近では頻繁に自然災害が発生しているため、こういった状況下で安定した電力供給ができるのは安心感があります。
太陽光発電との相性が良い
エネファームは太陽光発電システムとの相性も良いです。組み合わせて利用することで、太陽光発電が停電時に利益をもたらすことが期待できます。
引用元:エネファームって?|日本ガス協会
エネファームは主に夜間や曇りの日に発電し、太陽光発電は昼間に発電するため、互いに補完し合うことができます。
太陽光発電とエネファームの併用は24時間安定した電力供給を実現するための優れた方法となるのです。
企業向けではありますが、太陽光発電のメリット・デメリットについて解説している記事もあるので、ご一読くださいませ。
エネファームのデメリット
エネファームには多くのメリットがありますが、次のようなデメリットもあります。
導入を検討する際は、デメリットにも注意しましょう。
【エネファームのデメリット】
- 導入費用が高い
- 設置スペースが必要
- 売電はできない
- ガスの使用量が増加する
導入費用が高い
エネファームの最大のデメリットは、その導入費用が高い点です。
エネファームの設置初期費用は一般的に100万円~250万円ほどかかります。本体費用は100~200万円、設置工事費用は50万円前後の費用が発生します。
また、定期的なメンテナンスも必要となるため、追加の費用も発生する可能性があります。
このため、導入を決定する前に、補助金制度やガス代割引プランなどを十分に考慮することが重要です。
設置スペースが必要
エネファームを設置するためには広いスペースが必要になります。
一般的なエネファームの外形寸法は高さ1,274mm、幅600mm、奥行330mm程度となっており、設置スペースを確保する必要があります。
また、設置後に簡単に移動や撤去ができないため、設置場所を慎重に選ぶ必要があります。特に都市部や住宅密集地では、設置スペースの確保が難しい場合がありますので、導入を考える際にはこの点も十分に検討しましょう。
売電はできない
エネファームは基本的に発電した電気を売電することはできません。
基本的には太陽光発電のように余剰電力を電力会社に売ることができないため、発電した電気を効率的に利用しなければ無駄になる可能性があります。
ただし、日本ガス協会のQAにもあるように、売電できるケースも存在します。
Q:エネファームで発電した電気を、電力会社に売ることができますか?
A:詳しくはお近くのガス事業者にお問い合わせください。
※ご使用の機種や条件によるものの、エネファームで発電した電気のうち、ご家庭で使われなかった電気の買取をする事業者等も一部にございます。引用元:導入をお考えの方へ|日本ガス協会
基本的にはエネファームによる売電はできないものの、例外も存在するようです。売電目的でエネファームの導入をご検討の方は、事前にガス会社に相談しましょう。
ガスの使用量が増加する
エネファームはガスを利用して発電するため、ガスの使用量が増加してしまいます。
特にプロパンガスを使用している家庭では、ガス代が高額になってしまう可能性があるでしょう。
ガスの使用量の増加によるコスト増を避けるためには、家庭のエネルギー使用状況を把握し、最適なガス会社・プランを選ぶことが大切です。
エネファームの費用相場
エネファームの導入を検討する際には、まずその費用相場を理解することが重要です。
エネファームの設置費用
エネファームを設置する際には、本体の費用に加えて設置費用も考慮する必要があります。
本体費用の相場は100〜200万円程度で、設置費用は50万円前後が一般的です。
ただし、導入する本体モデルや発電能力、タンク容量によって価格は変動するため、導入予算を事前に十分に確認しておくことが大切です。
また、設置に関わる工事内容によっても費用が異なるため、事前に詳細な見積もりを取得することをおすすめします。
エネファームの維持費用
エネファームの維持費用は比較的低いとされています。製品寿命は20年と長く、定期点検も設置後最初の10年間は不要です。
さらに、多くの製品では10年間のメンテナンス保証も付いているため、最初の10年間は維持費用がほぼかかりません。
ただし、定期的に本体や排水口の清掃は必要です。
エネファームに関するよくある質問
エネファームを導入する際には、さまざまな疑問や不安が生じることでしょう。ここでは、エネファームに関するよくある質問を取り上げ、それぞれについて詳しく解説していきます。
Q.騒音は問題ないですか?
エネファームの運転時の騒音は、比較的新しいモデルであればとても低いレベルに抑えられています。通常の稼働時には、日常生活に影響を与えるような大きな音は発生しません。
製品の設置場所や稼働環境によって若干の差異があるかもしれませんが、最近のモデルでは騒音対策が十分に施されているため、騒音の心配をする必要はないでしょう。
Q.導入に使える補助金はありますか?
エネファームの導入には、国や自治体からの補助金を利用することができます。
経済産業省の「⾼効率給湯器導⼊促進による家庭部⾨の省エネルギー推進事業費補助⾦」では、エネファーム1台につき18万円支給しています。
引用元:⾼効率給湯器導⼊促進による家庭部⾨の省エネルギー推進事業費補助⾦の概要|経済産業省
一補助金を利用することで初期費用を削減できるため、導入のハードルが低くなります。
補助金の申請方法や必要書類については、地元の役所や専門業者に相談するのが良いでしょう。
Q.寿命はどのくらいですか?
エネファームの寿命は一般的に約20年とされています。これは他の家庭用機器と比較しても長寿命であると言えるでしょう。初期の10年間は定期点検が不要であるため、その後も安定した稼働が期待できます。
ただし、使用環境やメンテナンス状態によって寿命が前後する可能性があるため、定期的な清掃や簡単な点検は忘れずに行うようにしましょう。
Q.太陽光発電と併用できるの?
はい、エネファームは太陽光発電と併用することが可能です。この組み合わせにより、家庭内のエネルギー自給率を大幅に向上させることができます。
太陽光発電で得た電力をエネファームで効率よく利用することで、エネルギーコストの削減と環境負荷の低減が実現できるのです。
具体的な導入方法やシステムの組み合わせについては、専門業者に相談することをおすすめします。
エネファームで支出削減を実現しよう
エネファームを導入することで、エネルギーコストの削減や環境負荷の軽減、さらには停電時の電力確保といった多くのメリットを享受できます。
初期費用は一見高く感じることもありますが、長期的な視点で見ると、経済的な効果は大きいと言えるでしょう。
エネファームを上手に活用することで、より効率的でエコな生活を実現してみてはいかがでしょうか。