節電対策をすることで、じつは税金面でも大きなメリットがあります。この記事では、企業経営者の皆さんに知っていただきたい節電対策がもたらす税制優遇について詳しく解説します。
固定資産税の軽減措置を活用! どんな制度? お得度は?

省エネ設備を導入すると、その設備にかかる固定資産税が最大3年間、通常の半額に軽減される制度があります。例えば、1,000万円の省エネ設備を導入した場合、固定資産税(税率1.4%と仮定)は年間14万円ですが、この制度を利用すれば7万円に。3年間で21万円の節税効果が得られる計算です。
経済産業省資源エネルギー庁の「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」情報によると、この制度は中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定を受けることで適用可能とのこと。ただし適用条件や対象設備は定期的に見直されるため、最新情報は経済産業省のウェブサイトで確認するのがベストです。
【対象となる設備は?】
- 高効率空調設備(トップランナー基準を満たすもの)
- LED照明システム
- 省エネ性能の高いボイラーや冷凍機
- 高効率なサーバー・コンピューター機器
関東地方のある製造業A社では、工場の照明を全てLED化した際にこの制度を利用し、3年間で約15万円の固定資産税削減に成功したそうです。
活用するためのステップ
まずは計画認定から
先端設備等導入計画を作成し、自治体(市区町村)から認定を受けましょう。この時点で、導入予定の設備が対象になるか確認することが重要です。
設備導入と申請手続き
認定後、対象設備を導入します。固定資産税の申告時には、工業会等証明書や認定書などの必要書類を添付することをお忘れなく。
軽減措置の適用
設備導入の翌年度から最大3年間、固定資産税が1/2に軽減されます。
注目ポイントは、自治体によっては独自の上乗せ措置がある場合もあること。事前に地元の商工会議所や自治体の産業振興課に相談してみましょう。
節電による経費削減効果を最大化する方法とは?

電気料金削減は立派な節税策
節電によって削減された電気料金は、そのまま経費として計上できます。例えば年間100万円の電気料金削減ができれば、法人税率(中小企業で約20%と仮定)を考慮すると、約20万円の節税効果があることになります。
電気料金の削減は課税所得の減少に直結するため、実質的な税負担軽減をもたらします。ここがポイントで、設備投資のような初期コストが不要な節電対策(運用改善など)は即効性のある節税対策といえるでしょう。
具体的な削減効果は? 効果の最大化=現状把握を
電力使用状況を徹底分析
過去1年間の電力使用量と電気料金の詳細を確認しましょう。特に基本料金を決めるピーク電力の値に注目です。
削減効果を数字で把握
節電対策実施前後の電力使用量の差を測定し、削減された金額を算出。これが経費削減額となります。
近畿地方のサービス業B社では、空調の設定温度見直しと不要照明の消灯徹底だけで、年間電気料金の約8%削減に成功。約15万円の経費減少となり、実質3万円程度の節税効果を得られたとのことです。
節電関連コストも経費に

節電のために支出したコストも経費として計上
省エネ診断・コンサルティング費用
外部専門家による診断費用は全額経費計上可能。
省エネ機器のリース料
購入ではなくリース契約の場合、毎月の支払いが全額経費に。
従業員教育費用
節電セミナーの開催費なども経費計上可能。
エネルギー管理システム費用
システム導入費用も経費または減価償却資産として計上。
経済産業省の「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」ページによると、エネルギー管理システムの導入には補助金も活用できるケースがあるようです。補助金と経費計上のダブル効果で、さらなるコストメリットが期待できます。
実践的な活用例は?

デマンド監視システムの導入
ピーク電力を監視・抑制して基本料金を削減。システム導入費用は経費計上しながら、電気料金削減による節税効果も得られる一石二鳥の対策です。
エネルギー使用の「見える化」
使用状況を可視化して無駄を発見。データに基づく運用改善で、投資なしで電力削減できることも。
電力調達方法の見直し
新電力会社との契約見直しや、時間帯別料金プランへの変更も経費削減につながります。
両制度を組み合わせて最大効果を
固定資産税の軽減措置と経費削減効果を組み合わせることで、省エネ設備投資のコスト回収を早めることができます。初期投資があっても、電気料金削減・税金軽減・固定資産税軽減の三重のメリットで、想像以上に早く投資回収が可能になるケースも少なくありません。
特に中小企業にとっては、限られた資金で最大の効果を得るために、こうした税制メリットを十分に理解し活用することが重要です。専門家(税理士や省エネコンサルタント)への相談も検討してみてはいかがでしょうか。
節電対策は地球環境への貢献だけでなく、企業経営においても賢い選択と言えそうです。