なぜ地方の工場は電気代半減に成功？年間80万円削減した省エネ対策とは

電気代の高騰が続く中、首都圏だけでなく地方都市の企業経営者の皆さんも省エネ対策に苦慮されていることでしょう。実際に導入されている事例を見ると、初期投資を抑えながら確実にコストカットできる手法が数多く見つかります。

ということで今回は、太陽光発電や空調システムの最適化を中心に、実際の現場で効果を上げている省エネ対策をご紹介します。

太陽光発電の導入が加速する理由

太陽光発電システムの導入コストは、この数年で大幅に下がってきました。地方都市ならではの広い敷地や工場屋根を活用できるのが大きなメリットです。

実際に、栃木県の金属加工会社では、工場屋根に50kWの太陽光発電システムを導入し、年間約80万円の電気代削減を実現。日中の機械稼働時間と発電ピークが重なるため、発電した電力の8割を自社消費でき、非常に効率的な運用ができているようです。

また、群馬県の食品製造業では、冷凍庫や製造ラインの電力需要が高いことから、太陽光発電で昼間の電力コストを大幅にカット。余剰電力の売電収入も含めて、6年で初期投資を回収する見込みが立っています。

導入に際しては、各自治体の補助金制度を活用することで、さらに初期費用を抑えることができます。詳しい情報は専門サイトで最新の制度を確認し、まずは資料請求から始めていきましょう。

空調システムの省エネ化で大幅コストダウン

オフィスや工場の電気代の中で、空調費が占める割合は30～40％にも上ります。そのため、空調システムの省エネ化は即効性の高い対策として注目されています。

最新のインバーター式エアコンへの更新は、古い機器と比べて消費電力を30～50％削減できることが珍しくありません。岐阜県のある自動車部品メーカーでは、工場の空調設備を一新したところ、夏場の電気代が月額15万円から8万円に削減されたのだとか。従業員の作業環境も改善され、生産性向上にもつながっているそうです。

また、静岡県の物流センターでは、倉庫内の温度管理に苦労していましたが、ゾーン別の空調制御システムを導入することで、必要な場所だけを効率的に冷暖房できるようになりました。年間で約30％の空調費削減を実現しています。

もちろん温度設定の見直しも効果的です。夏場の冷房を28度、冬場の暖房を20度に設定することで、1度の調整につき約10％の消費電力削減が期待できます。従業員の快適性を保ちながら、着実にコストカットを実現できる手法と言えるでしょう。

LED照明への切り替えとスマート制御

照明のLED化は、もはや当たり前の省エネ対策となってきました。従来の蛍光灯からLEDに交換することで、消費電力を約50％削減し、さらに寿命も大幅に延びるため、ランプ交換の手間とコストも大幅に軽減されます。

さらに一歩進んだ取り組みとして、人感センサーや明度センサーを組み合わせた「スマート照明制御システム」の導入が増えています。新潟県の食品加工工場では、24時間稼働の生産ラインに合わせてLED照明の自動制御システムを導入し、深夜帯の照明コストを40％削減しました。

山梨県の精密機器メーカーでは、クリーンルーム内の照明をLED化するとともに、作業エリアごとの明度調整機能を追加。品質管理に必要な照度を保ちながら、年間約25万円の電気代削減を達成しています。

初期投資は通常のLED化より少し高くなりますが、より大きな省エネ効果が期待でき、2～3年で投資回収できるケースが多く見られます。

設備の運用改善で無駄を徹底排除

新しい設備投資だけでなく、既存設備の運用方法を見直すことで、費用をかけずに省エネを実現することも可能です。

例えば、長野県の印刷会社では、大型印刷機の稼働時間を電力料金の安い夜間帯にシフトすることで、月額約5万円のコストダウンを実現しました。また、福井県の繊維メーカーでは、織機のメンテナンス頻度を見直し、機械効率を向上させることで電力消費を12％削減しています。

また、従業員同士の距離が近いことを活かした省エネ活動で効果を上げている企業も。石川県の電子部品メーカーでは、全従業員参加の「省エネアイデアコンテスト」を実施し、現場発の改善提案により年間で約18万円の電気代削減を達成しました。

地方の知恵者企業による省エネ対策に倣う

地方都市の企業が取り組んでいる省エネ対策は、どれも実践的で効果が見込めるものばかり。太陽光発電や空調システムの最適化は初期投資が必要ですが、確実にコストカットにつながり、数年で投資回収が可能です。一方で、設備の運用改善や従業員の意識改革は、費用をかけずにすぐに始められる対策として有効です。

これらの取り組みは、都市部の企業でも十分に応用可能であり、特に全社一丸となった省エネ活動や現場発の改善提案などは、企業規模に関係なく見習うべき手法と言えるでしょう。まずは自社の電力使用状況を把握し、最も効果の高い対策から段階的に導入していくことをおすすめします。