夏季の猛暑が続く日本では、冷房使用によって電力需要が急増します。特に日中の電力ピーク時には、電力供給が逼迫するリスクが高まるとともに、電気料金も高騰しがちです。企業や家庭での節電対策は、社会全体の電力安定供給に貢献するだけでなく、自身の電気代削減にもつながる重要な取り組みです。
ここでは、すぐに実践できる具体的な節電方法から、より本格的な設備投資による対策まで、夏を快適に過ごしながら電力消費を抑える方法をご紹介します。
今すぐできる夏の節電対策
エアコン設定温度を最適化する
環境省が推奨する「クールビズ」の室温は28℃です。エアコンの設定温度を1℃上げるだけで約10%の消費電力削減効果があります。無理のない範囲で設定温度を上げることを心がけましょう。
エアコンと扇風機を併用する
エアコンと扇風機を併用することで、室内の空気循環が促進され、体感温度を下げる効果があります。これにより、エアコン単体よりも設定温度を1〜2℃高くしても快適に過ごせるため、消費電力を抑えることができます。
遮熱カーテン・ブラインドを活用する
日差しが強い窓には遮熱カーテンやブラインドを活用しましょう。特に西日が当たる窓では、日中はカーテンを閉めておくだけで室温上昇を3〜5℃抑えられ、冷房負荷を大幅に軽減できます。
冷房効率を高めるため定期的なフィルター清掃を
エアコンのフィルターは2週間に1回程度清掃するのが理想的です。目詰まりしたフィルターは空気の流れを悪くし、最大で25%も消費電力を増加させます。簡単な掃除で大きな節電効果が得られる最も費用対効果の高い対策です。
室外機周辺の整理と日よけ対策
エアコンの室外機の周囲には物を置かず、風通しを良くしましょう。また、直射日光が当たる場所に設置されている場合は、日よけを設けることで冷房効率が約5%向上します。
緑のカーテンを活用する
窓の外側にゴーヤーやアサガオなどのつる性植物を育てる「緑のカーテン」は、室内温度を2〜3℃下げる効果があります。見た目も涼しく、育てる楽しみもあるエコな節電対策です。オフィスに植物を育てるスペースがあるなら、ぜひ挑戦してみるのも良いでしょう。
設備投資で本格的な節電対策を
一時的な工夫だけでなく、設備投資による本格的な節電対策も検討する価値があります。初期投資は必要ですが、長期的に見れば電気代削減によって投資回収が可能です。ここでは、いくつか効果的な節電工事の例を挙げます。
LED照明への切り替え
従来の蛍光灯と比較して、LED照明は消費電力が約50%削減できます。また、寿命が蛍光灯の2〜3倍あるため、ランプ交換の手間やコストも軽減されます。オフィスや店舗など、照明を長時間使用する場所では特に効果的です。
LED照明への切り替えは、照明使用時間や既存設備によって異なりますが、一般的には2〜5年程度で初期投資を回収できます。また、近年はLED照明の価格も下がっており、投資回収期間はさらに短縮傾向にあります。
空調設備工事の更新
デマンドコントロールシステムを搭載した空調設備を導入するのも、対策として有効です。デマンドコントロールとは、電力使用量が設定値を超えそうになると、自動的に空調機器などの運転を制御するシステムです。電力のピークカットにより基本料金の削減が可能です。
また、古いエアコンを使用しているのなら、最新モデルのものに買い換えるのもおすすめです。例えば10年以上前のエアコンを最新の高効率モデルに更新すると、消費電力を約30〜50%削減できます。特に「APF(通年エネルギー消費効率)」の値が高いモデルを選ぶことがポイントです。
屋根や外壁の遮熱・断熱工事
屋根や外壁への遮熱塗装、窓ガラスへの断熱フィルム貼付、天井裏や壁への断熱材追加など、建物の断熱性能を高める工事は、夏の冷房負荷を15〜25%削減できます。冬の暖房効率も向上するため、年間を通じた節電効果が期待できます。
太陽光発電の導入
太陽光発電システムは初期投資が大きいものの、自家発電による電気代削減と余剰電力の売電収入が見込めます。設置場所の日照条件や屋根の向き、設置スペースなどを考慮し、専門業者に相談のうえ検討することをおすすめします。
太陽光発電の導入に関心はあるものの、高額な初期投資や設備管理の負担に躊躇されている方もいるでしょう。その場合は、「太陽光PPA」を利用するのも一つの手です。この仕組みでは、専門事業者が設備の設置・所有・管理を全て担当し、お客様は発電した電力を購入するだけ。初期費用ゼロで再生可能エネルギーの恩恵を受けられるため、コスト面や技術面での不安を解消しながら、環境貢献と電気代削減を両立できます。さらに、将来的に設備買取りも可能なケースが多く、長期的な視点でもメリットがあります。
今のうちから対策して暑い夏を乗り越えよう
本記事でご紹介した節電対策の中でも、特に設備投資による本格的な対策については、建物の状況や予算に応じた最適な方法が異なります。それぞれの特性や導入コスト、期待できる効果など、より詳細な情報をご希望の方は、ぜひ下記から資料をダウンロードしてみてください。