地球温暖化対策として化石燃料の使用量と温室効果ガスの排出を削減することになる節電が世界的に課題となっており、大口の電力消費者である企業にも節電対策が求められています。
節電することは電気代を抑えることになるので、企業にとって長い目で見ると経費削減となりますが、対策のための初期投資としてある程度の金額が必要になります。
そこで、有効に活用したいのが国や自治体の支援制度です。環境問題対策には国も積極的に取り組んでいるので、様々な補助金・助成金が用意されています。そこでこの記事では、補助金・助成金の仕組みを確認しつつ、実際の事例を紹介したいと思います。
そもそも、助成金・補助金って何?
補助金と助成金は、いすれも公的な経済支援で、国や地方自治体が企業や個人に対して支給する資金援助制度です。いずれも申請を提出したのちに審査を受け、認められた場合に受給され、一般的な融資のように返済する必要のない資金になります。なお、助成金と補助金にはその性質や目的に違いがあります。
助成金と補助金の違い
助成金は主に厚生労働省が管轄し、以下の特徴があります。
【助成金の特徴】
- 目的:雇用促進、職場改善、労働環境の改善、人材育成などの支援
- 対象:主に事業者
- 金額:比較的少額(数十万円~百万円程度)
- 審査:受給条件を満たせば、ほぼ受給可能
- 公募期間:比較的長く、通年募集の場合もある
補助金は主に経済産業省が管轄し、以下の特徴があります。
【補助金の特徴】
- 目的:新規事業・サービスの導入、公益につながる事業促進などの支援
- 対象:主に事業者
- 金額:比較的高額(数百万円~)
- 審査:厳密な審査があり、採択されないと受給できない
- 公募期間:比較的短い(約1カ月程度)
節電費用は補助金と助成金のどっち?
目的別に見てみると、助成金は雇用や労働環境の改善が中心となっており、補助金は新規事業の支援や地域振興などの公益につながる事業のサポートを目的とする傾向です。企業の節電対策に活用する場合は、補助金をメインとすることになりそうです。
ただ、補助金と助成金の内容については、明確に分けられていないケースもあります。補助金の特徴を持っていても名称が助成金となっていたり、その逆のパターンも存在するので、具体的な内容をしっかり把握する必要があります。
実際に補助金を活用した節電事例をチェック
それでは、実際に補助金を活用して節電対策に取り組んだ企業の事例を見てみたいともいます。いずれも補助金を活用して設備投資などを行い、長期的なコスト削減と環境負荷の軽減を同時に達成できることを示していると思います。
- 静岡県の紙器製造
- 愛媛県のスーパーマーケット
- 北海道の製菓メーカー
静岡県の紙器製造
静岡県の紙器製造の工場は、既存設備の更新時期を迎えたタイミングで補助金を活用して高機能と高効率を両立した新設備を導入。補助対象設備のエネルギー使用量を年間15.1klから6.1kl削減し、省エネルギー率40.6%を達成したそうです。そして、補助対象経費1億7,000万円に対して補助金5,230万円が支給されたようです。
愛媛県のスーパーマーケット
愛媛県のスーパーマーケットは、循環型システムの構築と地球温暖化防止対策を進めるなかで、補助金を活用して省エネルギー性能に優れた冷凍冷蔵設備を導入。エネルギー使用量を43.8kl削減して、省エネルギー率41.6%を達成し、年間392万円のコスト削減にもなったそうです。そして、補助対象経費1,000万円に対して補助金500万円が支給されたようです。
北海道の製菓メーカー
北海道の製菓メーカーは、補助金を活用して1,108台のLED照明器具の導入と、4台のボイラーを高性能なボイラーに更新。補助対象設備のエネルギー使用量を年間1,004klから124kl削減し、省エネルギー率12.4%を達成したそうです。そして、補助対象経費6,180万円に対して補助金2,060万円が支給されたようです。
節電対策には補助金の活用を
今回紹介した事例だけでなく、様々な業種の企業が補助金を有効に活用して節電対策に取り組んでいます。
節電対策に取り組むことは長期的な経費削減だけでなく、企業の地球環境対策に対する姿勢を明確にし、社会的評価を高めるといったメリットも存在します。
補助金を活用した節電対策を検討してみてはいかがでしょうか。